トップページ > 抗菌・抗マラセチアに対する基礎研究

抗菌・抗マラセチアに対する基礎研究

      

抗菌、抗マラセチア活性検査 【基礎データ】

T)臨床検体からマラセチアの分離
  • スワブ検体からマラセチア分離
  • 培地: 普通寒天培地、コーンミール培地、BHI培地(ブレインハートインフュージョン培地)、SDA培地(サブロー培地)にて分離培養(図1)。
    【結果】:37℃2日培養でコロニー形成あり
    【考察】:細菌は増殖していないので、細菌との混合感染ではないと考えられた。図1

  • グラム染色
  • 【結果】:臨床検体の直接塗抹標本とコロニーの鏡顕像が一致
    【考察】:検体ではマラセチアが純培養状態。細菌との混合感染ではない
スワブより分離培養およびグラム染色を行った。単一コロニーの発育を認めた。
検体の直接塗沫標本及びコロニーとも同一形態の酵母様真菌を示した。
形態学的性状よりマラセチアと考えた。他の真菌との混合感染はなかった。

II)マスティックのヘキサン抽出分画標品の抗マラセチア活性測定と添加物の影響
    (被検ディスク)
    (1)マスマリンディスク(5.10.20mg)
    (2)ヘキサン抽出ディスク(5.10.20mg)
    (3)スクアレンディスク(25mg)
    (4)ヘキサン抽出(5.10.20mg)+スクアレンディスク(25mg)
    (5)ヘキサン抽出(10mg)+スクアレンディスク(5.10.20mg)

    (被検菌)
    マラセチ臨床分離株

    (方法)
    約108CFU/ mlに調整したマラセチアをミューラーヒントン寒天培地に塗布し、
    各濃度の被検ディスクを置き37℃、2日間培養後、阻止円を測定。

    (1)マスマリンディスクの(5.10.20mg)の 抗マラセチア活性   (2)ヘキサン抽出ディスクの
    (5.10.20mg) の抗マラセチア活性  
    マスマリンディスク   ヘキサン抽出ディスク
    結果:増殖阻止円の直径5mg:11mm、10mg:22mm、 20mg:25mm濃度依存的であった。   結果:増殖阻止円の直径10mm、12mm、14mm濃度依存的であった。

    (3)スクアレンディスク(25mg)の
    抗マラセチア活性
      (4)ヘキサン抽出(5.10.20mg)+スクアレンディスク(25mg)の抗マラセチア活性  
    スアアレンディスク   ヘキサン抽出ディスク
    結果:増殖阻止円の直径11mm   結果:増殖阻止円の直径16mm、20mm、20mmスクアレン添加による相乗効果が認められた

    (5)ヘキサン抽出(10mg)+スクアレンディスク(5.10.20mg)  
    スアアレンディスク
    結果:スクアレン濃度に依存的な相乗効果が認められた
    測 定 1st 2nd 平均値
    (mm)
    濃度(/disk ) 増殖阻止円直径(mm)
    SH5 :ヘキサンエキス10mg+スクアレン5mg 25×25 17×18 21.3
    SH10 :ヘキサンエキス10mg+スクアレン10mg 27×28 22×22 24.8
    SH25 :ヘキサンエキス10mg+スクアレン25mg 28×30 27×28 28.3



III)マスティックへのヘキサン抽出の分画標品の抗マラセチア活性
    (被検ディスク)
    n-Hex分画ディスク(MH2-*)
    ・MH2-1(5mg)+スクアレン25mg/disk
    ・MH2-2(5mg)+スクアレン25mg/disk
    ・MH2-3(5mg)+スクアレン25mg/disk
    ・MH2-4(5mg)+スクアレン25mg/disk
    ・MH2-5(5mg)+スクアレン25mg/disk
    ・MH2-6(5mg)+スクアレン25mg/disk
    ・MH2-7(5mg)+スクアレン25mg/disk
    ・MH2-8(5mg)+スクアレン25mg/disk
    ・MH2-9(5mg)+スクアレン25mg/disk
    ・MH2-10(5mg)+スクアレン25mg/disk

    (被検菌)
    マラセチア臨床分離株

    (方法)
    約108CFU/ mlに調整したマラセチアをミューラーヒントン寒天培地に塗布し、
    各濃度の被検ディスクを置き37℃、2日間培養後、阻止円を測定。

    測 定 1st 2nd 平均値
    (mm)
    ディスク仕様 増殖阻止円直径
    (mm)
    2-1:MH2-1(5mg)+スクアレン25mg/disk(n=2) 25×25 22×22 23.5
    2-2:MH2-1(5mg)+スクアレン25mg/disk(n=2) 25×25 25×25 25.0
    2-3:MH2-1(5mg)+スクアレン25mg/disk(n=2) 26×27 22×23 24.5
    2-4:MH2-1(5mg)+スクアレン25mg/disk(n=2) 21×21 19×19 20.0
    2-5:MH2-1(5mg)+スクアレン25mg/disk(n=2) 25×26 24×24 24.8
    2-6:MH2-1(5mg)+スクアレン25mg/disk(n=2) 13×14 12×12 12.8
    2-7:MH2-1(5mg)+スクアレン25mg/disk(n=2) なし なし なし
    2-8:MH2-1(5mg)+スクアレン25mg/disk(n=2) なし なし なし
    2-9:MH2-1(5mg)+スクアレン25mg/disk(n=2) 12×12 13×13 12.5
    2-10:MH2-1(5mg)+スクアレン25mg/disk(n=2) 14×15 14×15 14.5
    マスティックのヘキサン抽出の分画標品の抗マラセチア活性
    マスティックのヘキサン抽出物をさらに10段階に分画した。
    その結果、MH2-1から2-5に、強い抗マラセチア活性を認めた。
検査機関:産業医科大微生物解析研究開発有限責任事業組合(SMART・LLP)


抗菌活性の強かった【2-1】〜【2-5】の分子構造式解明
3-oxo-28-norolean-12-eneの化学構造式 oleanoic aldehydeの化学構造式
【2-1】
3-oxo-28-norolean-12-ene
の化学構造式
【2-2】
oleanoic aldehyde
の化学構造式
Tirucallolの化学構造式 25-hydroxy-△7tirucalloneの化学構造式
【2-3】
Tirucallolの化学構造式
【2-4】
25-hydroxy-△7tirucalloneの化学構造式
Tirucallone の化学構造式  
【2-5】
Tirucallone の化学構造式

データ提供:九州大学薬学部